「一気にぶっ壊しちゃうわけにはいかないの?」
「無理……! そんなことしたら動力源に内蔵された魔石の魔力が行き場を失ってドカーンだよぉ……。安全装置を一個一個地道に外した後、核になってる部品の作動を止めるしかないけど……」

 機械のように淀みなく指を動かし、慎重に金属部品を外す様は、まるで熟練のピアニストのようだ。

「でも、ふう……ごめんなさい……思った以上に安全装置が複雑で、私の魔力が、持たないかもっ」

 セシリーは聞いたことがあった。
 魔道具の安全装置には特殊な魔石が組み込まれていて、特定の波長をもつ魔力にしか反応しない。今彼女が使っている工具が、それに自分が放つ魔力の波長を調整して合わせるためのものなのだが、こう言った道具は本来、魔石などの動力源に繋が無ければ長時間は扱えない。

 それを無理に使うために彼女は自分の身体から魔力を発し続けているが、しかしそれが枯渇しようとしているのか手元の光は徐々に揺らぎ、不安定なものとなっていく。

「な、なんかないかな……なんか、なんか。あぁっ!」