以降も互いに譲らぬ攻防が続き、周りに息を吐かせぬ中……セシリーは隣で見守るマーシャの息が浅くなるのを聞き、彼女の背中をさする。

「だ、大丈夫ですか……。あの……怖いようなら無理にこの場所にいなくても」
「ごめんなさい……大丈夫。……なにか、思い出せそうで」

 頭痛がしているのか、頭を押さえながらも一心に戦いを見つめるマーシャ。
 セシリーはレミュールに事情を話し、試合を止めてもらうかどうか迷う。しかし、その間にもふたりのせめぎ合いは過熱していった。

「レイアム、なぜこの国に戻って来た! おまえが創立祭などに呼ばなければ、今も彼女は生きていた! あの時傍にいて彼女を守れなかった貴様が、またこの国から聖女を……次は皆の希望を奪っていこうとするのか!」
「違う、俺は……確かに彼女をあの時守れなかった! だから今度こそこの手で……」
「黙れ! ……我らのせいで不幸になった者たちが何人もいる! それをそ知らぬふりで、貴様だけが自分の我儘を押し通そうなど、許されることではないと知れ!」

 何度も何度も怒りをぶつけるように振るわれるジェラルドの剣がリュアンを追い込む。それを見てレミュールは辛そうに眉を顰めていた。