残った力をすべて振り絞るかのような力と叫び。
 逆らえず、その場に座り込んだ俺に……彼女は苦しそうに息を吐きながら、それでも微笑むと途切れがちに声を紡いだ。

『……ありがとうね。今隣にいるのが、あなたでよかった。駄目だな……私、色んな人を悲しませちゃうなんて……聖女失格だよね。父様や母様、あなたや、ゼル様、友達……仲良くしてくれた人、たくさん、いたのに』
『そう思うなら……踏ん張ってよッ! 聖女なんだろ、奇跡くらい……起こしてよ!』
『それは無理よ……だって、私のお祈りは、大切な人のために……するものだから。自分には、効かないよ』

 少しだけ、笑みに苦笑めいた色が浮かんだ。
 きっと、そういう人間だから選ばれた……それがわかっていて――。

 誰よりも彼女のことを知っているはずなのに……かすかな命の火種が尽きようとしているラナになんて声を掛ければいいのかわからず、ただどこにも行って欲しくなくて、強く抱きしめた。

『皆を、俺を置いて行かないで……! 死なないでよ!』
『ずいぶん大きくなったのに、子供みたいに、泣いちゃって……仕方ないなぁ。でも、最後くらい……いいよね』