その実績もあって、意外にすんなりと父上は、俺たちが本来なら宮廷魔術師しか閲覧できない特別な書庫に立ち入ることを許してくれた。様々な思惑がありきのことだと念頭に置きつつも素直に感謝し、俺はラナを王城に招き、休みの度に本を読み漁った。

(俺はどこへも行けない(かご)の鳥だけど、でもラナなら……)

 俺はラナが夢を叶えようとする時、きっとそばには居られない。

 けれど、隣で読書に没頭する彼女が広い世界に出た時、この時間が助けになって背中を押してやれることもあるかもしれない。そうしていつの日か、少しだけこんな自分のことを思い出してくれたらと……俺はラナの未来と、少しだけ繋がれることを望んだんだ――。


 

『――お前たちはいつも仲がよいなぁ。オレよりもラナの方が、よほどレイアムと兄弟のように見えるぞ』