「でも、お父様だったら……お母様が困ってたら助けるでしょ!!」
「それとこれとは話が別だ! お前は魔法騎士団に想い人でもいるのか!? 私は絶対に認めんからな!」
「クゥ~ン……」

 興奮したふたりは母の墓の前であることを忘れて言い合い、困ったリルルがどうしたものかと周りをうろつく。しかし……彼の鳴き声は途中で低く変化した。

「――グルルルルッ……」
「……リルル、どうしたの?」

 異変を察知し低く体を沈めるリルルに、オーギュストも険しい顔付きで左右を確認する。

「何者かはわからんが、囲まれたようだ。……セシリー、お前、魔法は使えるようになったのか?」

 どうやら隠れてキースと魔法の修練をしていたことは、父にもバレていたらしい。

「え!? ま、まだ何も教えてもらってないよ! 魔力を感じ取れるようになっただけで……」