「なんとなくな。元気そうでよかった……」
「来てくれてありがとう、セシリー! でも、変装までしなきゃならないなんて、やっぱりオーギュストさんに外出を止められちゃったんだね……」

 ラケルが責任を感じたように肩を落としたので、セシリーは元気づけようといずれ戻る意思があることを伝えた。

「大丈夫だってば! お父様さえちゃんと説得すれば、すぐにまた元通りになるから! ごめんね、それまでは食事とか作ってあげられないけど……」
「ロージーさんは大変だけど、僕らも彼女ばっかりに負担がいかないよう手伝うから気にしないで。それよりも、お父さんをしっかり安心させてあげなきゃ」

 ぐっと力強く拳を前に掲げるラケル。しかし時間もそうないのか、彼は慌ただしく手に持つ紙袋をセシリーに渡す。

「これ、キース先輩から。中に小さな金属板が入ってると思うけど、それは連絡用の魔導具なんだ。光ったら彼から連絡があると思っておいて。他にも色々入ってるけど、おいおい説明があるらしいから、後で先輩に聞いてね」
「うん、わかった」