セシリーは自分の胸に問いただす。リュアンやラケルのことはもちろん好きだ。でもそれはキースやロージー他、魔法騎士団の皆に感じる感情と比してそこまで特別なものではない……少なくとも、今は。

 それよりもあの場所に戻りたいという気持ちが強い。皆のためにできることがあるなら精一杯手伝ってあげたい。自分を待ってくれている、必要としてくれている人たちがいる魔法騎士団の、一員でありたい。

「こんな私を仲間だって認めてくれたあの場所が、大好きなんだ。だから、中途半端な逃げ方しないで、精一杯皆を支えたい。例えお父様に怒られたって、エイラに反対されたって……戻りたいの」

 セシリーの話を真摯に聞いてくれていたエイラは、胸を抑えて目線を落とすと、か細い声でポツリと言う。

「……その選択が、幸せな夢を終わらせてしまうのだとしても?」
「えっ……?」

 それは小さすぎてセシリーには聞き取れず……エイラはすぐに表情を苦労人めいた微苦笑に改めると観念したように言う。