「なるほど、それでですか」
「うん……。でも、私この部屋から出られないし。エイラ、伝言だけでもお願いできない? せっかく来てくれてる彼らに悪いもの」

 そう弱った様子で頼み込むセシリーに、エイラはしばし瞑目した後、涼やかな細い目を少しきつくする。

「御嬢様は、どうして魔法騎士団にそこまで執着なさるのです? 御館様に止められまでしましたのに。もしかして、気になっている殿方がいらっしゃるとかですか? 迎えに来てくださっているおふたりのどちらかとか……」
「ち、違うよっ!? あっ、わわわわっ」 
「危ないっ――」

 そんな自覚は無かったはずなのにセシリーの身体は勝手に後ずさり、ドレスの裾を踏んづけて転びかけたところを慌てたエイラが引き戻してくれた。

「ふぅ、お気を付けくださいませ~」
「ごめんごめん。……でも、そういうことじゃないの。私は……」