だがその剣幕にもセシリーは退かない。

「嘘よ! どうせあんたたちなんて、真っ向から誰かに立ち向かう勇気も無い癖に! 弱い人や付け込む隙のある人ばかりを狙って、卑怯な方法で苦しめて……。そんなの、仕事なんかじゃない……! 本当に、生きていくために一生懸命やっていることなんだったら……人を小馬鹿にして笑ったりなんかしない!」

 セシリーはもう一時だって彼らにリュアンを傷つけさせたくなかった。彼が今まで思い出と共に大切に育ててきた誇りを、こんな奴らが笑っていいはずはないのだ。

「あんたたちに、リュアン様の何がわかるっていうの!? 彼は、今までぼろぼろのくたくたになりながらこの国の皆を救ってきたんだ! 私だって何度も助けてもらったからわかるもん、たくさんの人が彼を大事だって、傍にいて欲しいって思ってる! そんな彼をあんたたちみたいなやつらが(けな)す権利なんて無い!」
「セシリー……」

 小さく目を見開いたリュアンに、セシリーは臆病を振り切り、元気づけるような笑みで頷いた。怖さは消えない……痛みにだって、きつい言葉にだって慣れていない。それでもセシリーは自分は何を言われても、どうなってでもリュアンのために怒りたかった。