「あら、反抗期でちゅかね~? 赤ちゃんよりかよわい小娘ちゃんが、いきり立っちゃって……ぼろぼろの雑魚騎士団長様と一緒に、なにができるおつもりなんでしょうかねぇ? ひひひ」
「セシリー、やめろ……」

 男たちから同意の笑いが飛び交うが、セシリーは苦痛に顔を歪めるリュアンの体を優しく横たえると立ち、彼を庇い大きく手を拡げる。

「……笑うなっ! どうしてあんたたちは、誰かのために必死に生きようとしてる人を笑えるの!? そんな風に人を傷つけて貶めて、陥れて得たお金でご飯を食べて、遊んで……そんなのが本当に楽しいの!? そんなことを繰り返して、恨まれて……いつか誰かに自分も同じようにされて、そんな風に終わりたいの!」
「ピーピーうるせえぞ……」

 ガン、と鉄柵が蹴りつけられ、立ち上がった頭目の男が冷たい目で睨んだ。

「おままごとしてりゃ生きてける貴族様の嬢ちゃんにはわからんだろうよ。おめえらだって国民から金を絞り上げんのが仕事だろうが。じゃあそれを俺たちがやって何が悪い。脅して騙して奪う、そいつが俺たちにとっての仕事だ……!」