しかしそれでもなお、ラケルは自分は魔法騎士になりたいのだと、強く訴えた。魔法使いとして日々書物や道具と向き合い、己と対話しながら一歩一歩孤独に歩むよりかは……仲間と語らい励まし合って、共に目指す目標へと向かう道の方が、自分には合っているのではないかと。

 ならば仕方無い、試してみろと……ジョンはラケルに騎士学校というものが存在することを教え、同時に来たるべき入学試験に合格したならば、そこに通うことを認めると約束してくれた。

 彼からすれば移り気なラケルのこと、もし入学試験で手も足も出ないなら、失望し途端に興味を失くすだろうと、したたかにも思っていたに違いない。

 しかしラケルはあろうことか、入学試験を突破してしまった。今更ながら約束を違えることは師としてできず、ジョンは渋々ながらもラケルの三年間の学費を立て替え、通いの弟子として魔法の修練を続けることを条件に騎士学校寮へと送り出してくれたのだ。