(そんな人たちがいるだなんて……)

 その日から、青年のことを思い出すたびラケルは修行も手伝いもまったく手に付かなくなってしまった。注意を受けても上の空で、目を盗んでは町へと出たがる彼を見かねたジョンは、仕方なく彼の意思を確かめる。

「お前、もしかして魔法騎士になりたいとか思ってはいないだろうな?」
「……え~と、その。……すみません、実は僕、魔法使いに向いていないと思ってしまって」

 図星を突かれたラケルは、申し訳なさそうな顔をして頭を下げた。そんなラケルにジョンは懇々と、彼にちゃんと魔法使いとしての才能があることと……それは長い年月をかけて育てるもので、華々しい活躍を望むのなら、今の内に土台を固めておくことが重要であると説いた。

 そして、魔法騎士と言う仕事が、魔物相手で命のやり取りを含む、とても危険な仕事であるということを……。