王都の中央通りに構えられた、貴族も訪れる割と有名なお店に入ると、リュアンのことを気遣って店員に頼み、奥の方の目立たない席へ座らせてもらった。

「仕事の途中だろうに……」
「休憩くらい、いいじゃないですか。ささ、なんでも頼んで下さいよ。今日のお礼なので、私に奢らせてくださいね」
「いや、俺が……」
「私が出します」

 有無を言わさぬセシリーにリュアンはなにか言いたそうにしたが、軽く首を振ると諦め、店員お勧めのケーキセットを注文する。セシリーも同じ物にした。

 しばし待つと出てきたのは、オレンジ、苺、チョコレートの三種の味が楽しめる、一口サイズの小さなプチケーキたち。それらをリュアンは半分に切り分け、ゆっくりと味わう。

(甘いものの苦手も特になさそう、っと……)