(見たいんだ……)

 仕事中に自分の関心事に気を移すのが許せない――そんな融通の利かない生真面目さが垣間見えて、微笑ましさについセシリーは販売所へと走り寄った。
 
「あっ、可愛い! ちょっとだけ見ていいですか?」
「……好きにしろ」

 リュアンが目線で許可をくれたので、セシリーは顔をケースに近づけた。
 金銀、白金等様々な貴金属に加え、鮮やかな光を放つ宝石たちは、眺めているだけでも楽しい。隣で食い入るようにケース見つめるリュアンの瞳と、銀の指輪に収まった一粒のアメジストをこっそりと見比べてみる。

(本当に同じ色……。どっちも綺麗だな)
「お姉さん、ちょっと付けてみないかい?」

 販売員の婦人が近寄ってきてケースから商品を取り出してくれようとするが、セシリーはそこまでするつもりはないので、すぐに断る。