「……ややえぐみを感じる苦甘さだ。好んで飲むものではないな」
「ティチだったらお仕事のためでも飲みたくない。納期が迫ったら飲まなきゃなんだけど、ご飯食べたくなくなるよ」
「……そこまでの味なんだ」

 リュアンが揺らす細長いガラス瓶に入った薄紫の液体を見て、ティシエルはぎゅっと眉を寄せ口を塞いだ。試供品の赤い色をした普通のポーションならセシリーも飲んだことがあるが、あっちは苺味をベースにはちみつなどがブレンドされ、甘くて美味しいのに……。苦いのは使われた薬剤の違いか、はたまた魔法使いに恨みでもあったりして。

 魔力を使用する多くの人たちのためにも品質改善を提起せねば――などと考えたセシリーが販売所を一回りし終えた頃、リュアンが少しだけ足を止める。理由は視線の先を追えばすぐにわかった。お目当てはきっとガラスケースに入れられたアクセサリーたちだ。

 しかし、セシリーたちが隣にいるのを思い出すと、照れたように顔を背ける。