心の中で兄に感謝するエステルだったが、使者はその説明を聞いてゼファーへの興味を失ったようだった。

 天気の予想ならば、その辺りの農民にも難しくないからだろう。

「そういうことならば、予言者を迎える必要はなさそうだな。その子供……エステルだったか? 今から男爵様の屋敷へ来てもらいたいのだが」

「えっ、今からですか?」

 エステルが聞くのも無理はない。

 使者がメイナ村へ来たのは突然だったし、いきなり来いと言われても彼女にだって都合がある。

「男爵様は領内の変化を気にしておいででな。こうしてときどき村の者や旅人を招いて、話を聞きたがるのだよ」

「……そうなんですね」