「村のために尽くしたのはこの子、エステルです」

 エステルは緊張しながらぺこりと頭を下げた。

 使者はじろじろとエステルを見ると、その顔を覗き込む。

「こんな子供が……?」

「ただの子供じゃない」

 横からレスターが声を上げる。

「君は?」

「この子の兄です」

「ふうん」

 使者はレスターのことも無遠慮に観察する。

(なんだかちょっと落ち着かないなぁ)

 レスターもエステルと同じものを感じたのか、彼女を庇うように自分の背後へ隠した。

「もしもそれが本当なら、その子供は女神の加護を受けているのやもしれんな」

「だとしたらどうするんですか?」