「最近のメイナ村の変化は男爵様の耳にも届いている。村を訪れた予言者の手によるものだそうだな」

 使者たちにざわついていた村人の視線は、その場にいないゼファーではなくエステルに向けられた。

(そういうことに……なってもおかしくはないか)

 村人たちは本当の功労者を知っているが、街から来た商人や冒険者たちは違う。

 おそらくは断片的に耳にしたゼファーの話を聞いて、彼こそが村の発展に尽くした人物だと考えたのだろう。

「お言葉ですが」

 使者に向かって一歩踏み出したのは村長だった。

 優しく穏やかに笑ってエステルを手招きし、使者に向かって彼女を紹介する。