エステルが氷室から出ると、ひと仕事終えたレスターがやってくる。

「お兄ちゃん、今日もお疲れ様!」

「ありがとう。でも教えてるだけだから、そこまで疲れてないよ」

 レスターは街で学んだ戦闘技術を村の若手に伝授している。

 最近では狩りもかなり安定し、怪我をして帰ってくる人数が極端に少なくなった。

 さらにエステルも予想していなかった思わぬ副産物がある。

 身体の使い方を知った村人たちは、より効率よく運搬する技術を身につけたのだ。

 リンバーグ山から運ばれる粘土や材木など、荷車が日に何度も往復するさまを見かけるようになっている。