「村の雰囲気もかなり変わったもんね。あとはお兄ちゃんが戦い方を伝授したら、魔物との攻防も安定するんだろうな」

「異様なほど目覚ましい成長だ。人間の分際で」

 余計なひと言のせいで、褒めているようには聞こえない。

「ゼファーが気にしなくていいって言うなら大丈夫なんだろうね」

 エステルが安堵の息を吐く。

(本当に、このままなにごともなく過ごせたらいい)

 エステルの脳裏に浮かぶのは、本来このゲームであるべき悲惨な未来たちだ。