レスターよりひと足早く村に戻ってきたエステルは、思いついた仕事から着手を始めた。
まずはセイレンの一族との交易について村人に伝え、興味を持った者と村から送る物品の精査を行った。
海にはないものがいいだろうということで、エステルが以前フェンデルと作ったベリーの果汁を乾燥させただけの菓子や、試行錯誤の末に完成したベリーの酒が主なものとしてあがった。
ほかには石窯パンや干し肉、普段から村で食されている野菜も一応用意し、いずれやってくるラズに選んでもらう形で話が落ち着いた。
レスターがいない間、畑の世話をするのはエステルだけだ。