(ゼファーにあのサンドイッチをあげたとき、『妙な魔法を使ったな』って言ってた)

 ゼファーの言葉を聞いてエステルはようやく思い出した。

 ここがイクサガというゲームの世界であり、そこには勇者やその仲間たちの能力を引き上げる料理があったことを。

 提供されるのはゲーム世界で一番大きな都市の酒場だが、ひとまずそういった規格外の料理は存在するのだ。

 その一件以来、エステルは調理を控えるようになった。

 もとからレスターに任せていたおかげで、エステルが作る料理の奇妙な効果に気づいたのは兄妹とゼファーだけだ。