びくりと反応したエステルが背筋を伸ばすと、そのまま背中にぐっと力を入れられるのを感じた。

 ゼファーはエステルの顔を自分の胸もとに押しつけ、あやすようにその背中を撫でながら小さく息を吐く。

「勝手にしろ」

 微かな動揺を覚えるも、エステルは特に抵抗せずゼファーの胸に顔を埋める。

(今まで通りのままでいいってことかな?)

 触れた場所から感じる鼓動は、かつて水晶に囚われていた彼から感じたものと同じものだった。