(この人を殺せるのは、私だけ)

 殺し殺されるはずの関係が、ゲームの流れにならなかったことで変化した。

 今はこんなにも近い距離で無防備に会話ができている。

 エステルの中に、今のゼファーは自分を殺さないという信頼があるからだ。

「少しは怖がっておけ。お前が私に遠慮するように」

 これまでの彼とのかかわりを振り返り、エステルは急に気まずくなる。

「やっぱりもうちょっと遠慮したほうがよかった……? うるさくしすぎたかもっていう自覚はないわけでもなくて……」

 ゼファーの手がエステルの背中に触れる。

「ひゃ」