それからというもの、エステルは村の開拓に向けて奔走を始めた。

 ちなみに先日、空から落とされたときはゼファーの魔法によって、地面に叩きつけられることなく無事着地を果たしている。

(やっぱりよくわかんない人だな)

 今日もエステルはゼファーを図りかねたまま、家の倉庫に薪をせっせと集めていた。

 彼女の視線の先には、なにをするわけでもなく宙に座るゼファーがいる。

(観察されてる……っぽい?)

 彼はこの村に来て以来、基本的にエステルに追従した。

 それでいてエステルが手伝いを頼むと不快感を示すのだ。

(まあ、慣れたけど。ゼファーを気にかけてる場合じゃないしね)