新しい目的を見つけて燃えに燃えたエステルは、興奮を抑え切れず目の前のゼファーにぎゅっと抱きついた。

「ありがとう、ゼファー!」

「馴れ馴れしいぞ、人間」

 ゼファーがひょいっとエステルの襟首を掴み、空中にぶら下げる。

 その行為が意図するものを察し、エステルの顔からさっと血の気が引いた。

「えっ、待って、嘘、違うよね?」

「あまり調子に乗るな」

 その言葉とほぼ同時に、ゼファーはぱっとエステルを掴んでいた手を離した。

「嘘でしょおおお!」

 重力に従い、地面に向かって急速に落下するエステルの声が辺りに響き渡った。