強い酒でも飲まねば、もうやってられない。何杯か同じ酒を頼んだら酒場を歩くウェイトレスのお姉ちゃんは、景気よく大きな酒瓶を笑顔で置いて行った。この私を何回も往復させやがって、自分で注げよってことだろう。

「もう、最悪だ……どうやって、言い逃れしよう……」

「……今夜中に結婚相手見つかったら、俺がなんとかしてやっても良いけど」

 ルーンは同情と哀愁が入り交じった視線で、俺を見た。

 こいつだって、ベアトリスがどれだけわがままで傍若無人だったかを良く知っている。なんだかんだ言いつつ、だいぶ被害だって受けていた。だから、俺の気持ちをある程度察してくれたのだろう。

「その言葉に、二言はないな?」

「ああ。俺はちゃんと約束は守る……看板でも持って、募集して来いよ。物好きな女だって、居るかもしれないし……」

「……世界救ったんだから、俺を救ってくれる人も居るかもしれない」

 だいぶ酔いが回っていた俺は、ルーンが差し出した看板を取り外へと出た。雨が降っていて視界も悪い。どう考えてもこんなところで、誰か結婚してくれと叫んでも来てくれる訳もない。