そうだ。俺だって女の子は、大事にしなければいけない存在だと思っていた。

 もちろん。ベアトリスだってそうだ。自分のわがままを自分勝手に押し通そうとする以外は、割と可愛いところもある。

 だからって、どう考えてもそれだけで結婚は出来ない。

 魔王討伐で選ばれる勇者は、この世界の期待の星だ。

 絶対に上手くこなさねばならないことだって、理解していた。だが、こんな風に迫られて旅の仲間に悩まされた勇者ってこれまでに存在していたのかな。もし居たなら、語り合いたい。

 お互い、本当に大変でしたねと。俺の気持ちは同じ立場でないと、絶対にわかって貰えないだろう。

「待って待って待って。なんで、俺がベアトリスと結婚しないとこの国が滅ぶの?! それとこれとは、全く関係ないだろ。しかも、なんで甘やかすの? これが認められたら、もうなんでもありだろ」

「それ。俺じゃなくて、王に言えよ。俺だって別に好きでお前捜しに来てねえし」

 魔王討伐報告だけ済ませて姿を隠した俺を探しに来たルーンも、本当に不本意な様子だった。