緊張する……離縁して初のパーティーだった。王宮のパーティーでちょうど良かった。隣国のお客様も招待されているようだし、私を見て噂をされる事があっても攻撃されることはないだろう。
だってここは王宮。陛下のお膝元だもの。お兄様はパーティーに出るのなら早めが良いと言ったケド、地味なドレスにしよう。宝飾類もなるべく控えめに……
******
「おい、やけに地味だな……もっと華やかな色味のものはないのか?」
あまり地味すぎても王宮のパーティーだと失礼にあたる。でもちゃんと華やかにパールは着けている。
「だって目立ちたくないもの」
紺色と白のドレスは地味だけど、上品だしウエストマークのカメリアは小さなパールで出来ているし、首飾りも全てパールとカメリアで揃えてみた。
「余計目立つと思うぞ? まぁ良い。いくぞ」
兄とパーティーへ行くなんて初めての事だ。ちゃんとエスコートしてくれるのね……口は悪いけどちゃんとしてたら貴公子に見えてしまうから、タキシードというものは不思議だわね。
あっという間に王宮の大ホールへ着いてしまった。家族総出でのパーティーとなった。周りはヒソヒソと私を見て噂をしているし、居心地が悪い。
パーティーが始まり王族の入場で皆の視線は王族に向かった。
早く終われば良いのに……と思っていると、お兄様は小声で言わせておけば良い。と無視を決め込んだ。お兄様がパーティーに出席するのは久しぶりで、いろんな人に声をかけられていた。やんわりと挨拶を交わし、令嬢を紹介されても、やんわりと断る。処世術というものかしら。