ジョゼフが結婚した事により愛人と呼ばれるようになったけどそれまでは恋人としてちゃんとジョゼフの事を愛していた。でもその期間も長すぎたみたいで、ただただ歳を食っちゃった。


 ガキだガキだと会いにいかなかったジョゼフ。どんな鼻たらしだと思ったら美少女だった。

 【ベルモンド家の至宝】と噂されているだけのことはある。

 お茶会で聞いた噂はあの子が社交界に出る前の話だからあくまでも噂の範疇だった。私が出るようなお茶会であの子と顔を合わせる事はないものね。


 あの子と結婚生活について契約を結んだ。と言ったけどバカねぇ。契約を結ぶなら私としなきゃいけないのにね。




 申し訳ないけど、あの子はまだ若くて美しいのだから良い人に出会えるわよね?

 私が言うのもなんだけどバツがついたから(ついてない)って敬遠するような男なら初めから断るべきね。



 あの子に苦しい思いをさせてしまったけれど、離婚が早くなったのはわたしの存在があると思う。

 
 今までごめんなさいね。口には出せないけど少しだけ役に……立ったかしら? そう思い邸を去った。




 え? 行き遅れですって? 私まだ二十五歳なんですけど?


 実家の男爵家からは、散々怒鳴られ離籍された、身分は無くなったけれど私は自由の身。




 あんなクソ親父や毒母こっちからお断りだわ。何がその金を寄越せよ。

 バカ兄の作った借金なんて知らないっての!





 悪いことばかりではなかったジョゼフとの関係だけど、もうサッパリ未練もない。

 愛していたのは過去のこと……


 私が不幸だなんて、誰か言った? 同情されるのは嫌い。



 ジョゼフの親から国を出るようにと言われたのもあるけれど、私のことを知らない国で私らしく生きる事にする。それくらいは許してもらえるわよね?