伯爵家の使者から手紙が届いた。
【家族が久しぶりに揃ったので晩餐を皆で取る事にしました。今晩娘はこちらに泊まらせます】
ルーナの父であるベルモンド伯爵からの手紙だった。
これに関しては久しぶりに家族とゆっくりとすれば良いと思って了承した。と同時にその家族の中に私は入っていないのか……と心苦しい気持ちも抱いた。
次の日届いた手紙には
【娘はもうそちらに帰ることはない】
とだけ書いてあった。
「嘘だろ……」
突然のことだった。
【今からルーナを迎えに行きます。話を聞いて下さい】
と手紙を書いて出した。
【己の行いを悔い改め、娘のことを考えるのなら離縁せよ】
と返事が書かれていた……
そんなことで諦め切れるわけがない。まだやり直せる! と思い伯爵家へと訪問する事にした。先触れは出していないが、この問題は後にして良いものではない。アグネスが何か騒いでいるが知ったこっちゃない!
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「妻と話をさせて下さい!」
伯爵家へ行きベルモンド伯爵と夫人、アルベーヌに頭を下げた。
「話すことなどないでしょう?」
今更ですか? と驚いたように伯爵は言った。
「いえ、この度のことは大変申し訳なく思っています。チャンスをください!」
夫人は黙ったまま笑みを浮かべているし伯爵は取り合ってくれない。そうだ、アルベーヌだ。この男は全てを知っている!
「アルベーヌ殿は、分かってくれましたよね!」
足を組み機嫌が悪そうである。以前会った時は分かってくれたんだ。今回も……