家族揃って食事をするのはいつぶりだろうか……いつも兄は居なかったから。

「久しぶりに家族揃っての晩餐は良いものだな」

 兄がそれを言う? 両親もそう思ったのだろう、笑顔が張り付いたままだった。


「それはさておき、ルーナ、何か隠していることない? ママ良くない噂を聞くのよね」


 ドキッとした。やっぱりバレない事はない。狭い貴族社会は噂好きが多い。有る事無い事話が大きくなるって事はよくある。


「私、何かしたかしら?」

 とぼけてみる。カマをかけるといった感じ……だけど


「侯爵様の愛人が本邸で過ごしていて、本妻である妻、ルーナが虐げられているって噂よ」

 半分は合ってる。どこで漏れたのかしら……? 


「あら、ダンマリね。それでルーナは寂しさを紛らわす為に商売に精を出しているって。違うの? あなたが言わないのならスージーに聞くわよ? こんな大事な事を黙っていたなんて侍女失格よね?」

「スージーは悪くないの、私が口止めをしているの……」

 母にズバリと言われた。でもスージーは悪くないそれだけはしっかり言わなきゃ! スージーがいなかったらこんな生活無理だもの。口籠っていると父が心配そうに言った。


「ルーナ、隠さずに話してほしい。私たちじゃ力になれないのか?」

 そんな顔を見せられると、私は……


「……はい、実は――半分は合っています」

「「半分?」」

 兄は口を出さない。多分この様子を見る限り全て知っているのだろう。