「……侯爵様、今日はどう言ったご用ですか?」

 応接室に通したので、向かいの席に座る。久しぶりに会うのよね……早く帰ってほしい。


「やぁ、ルーナ今日もとても美しいね」

「ありがとう存じます。用件は何でしょうか?」

「冷たいな……私たちは夫婦だろう? いい加減あの契約は無かったことにならないのか……私が全面的に悪かった」


 本邸にアグネスを未だに住まわしといて良く言うわね。本当に口だけなんだから。

 先日両親が外国から帰ってきた。と兄から連絡があり実家に行った。すると両親も私を見て何かおかしいと思ったみたい。


 両親はもう私たちの関係や侯爵家に関することを知っていると思う。契約までは個人情報だから知らないと思うけれど……兄と同じくいつでも()()()()()()と言ったわ。きっとそう言う意味だと思う。


 思ったよりも貴族街の店も庶民街の店も繁盛していて、両親に返すお金の目処がついた。


 離縁後は慰謝料も要らないから放っておいて欲しいものだわ。別れてくれるのなら逆にお金を払いたいくらいだけど、侯爵家はお金に困っていない。そしてジョゼフは仕事だけは出来るらしい(王太子妃談)



「契約は一年更新です。ご用がないのならお引き取りください」

 はぁっ。早く帰れ! 大事な話があると言うから通したのに! くだらない内容なら時間の無駄。



「いや、用ならある! 招待状が届いた」

 そっと出された一通の封筒。王家の紋章入り。それを手に取り中身の確認をする。



「パーティーですか……」