甘いものが好きな男


「エミリオ様」

 声をかけられ振り向くと側近のリュウがいった。

「今日、お菓子屋さんがオープンしたそうですよ。そこの女の子達が皆可愛いと既に評判なんですって」

 甘いものが好きな俺はその言葉に乗った。

「甘いものは好きだが、味よりも女の子が評判になっているのか?」


「今日オープンですから味はまだわかりませんよ。ほら今なら空いてますよ」


 外から見ると中々入りにくい店ではあるが、中にいる女の子は……評判通り可愛い子が多い。

 そしてひとりのスタッフに声を掛けた。


 いらっしゃいませ。明るい笑顔のスタッフは女の子と言う年齢だろう。十六かそこら? かな。

 明るい店内は上品でもあり甘い香りが立ちこめて、これは菓子の方も期待ができる。そう思った。


 初めて来た店でオススメを聞いて、言われるがままにスノーボールと言う菓子を買った。家につき茶を入れて貰い、その菓子を口に入れた。

「うまいな……」

 口の中でホロホロと溶け出し、粉糖と相性が良い。上品な甘さが口に広がり次々と食べてしまい、二種類買った菓子はあっという間になくなってしまった。


 また買いに行こう。菓子の説明をしてくれたあの子を思い出し、……何を考えているのだろう。商品の説明を一生懸命するあの子の顔を思い出してまた話がしたいだなんて。


 次の日も菓子を買いに店に行った。昨日のあの子がいて、声をかけると疲れからか喉が掠れていた。昨日の評判が評判を呼び店は繁盛していた。今日から正式にオープンのようで花がたくさん飾られていた。