「旦那様、早く別れなければルーナ様との和解がますます延びます。何が十日もあれば十分だ! ですか!」

 執事とメイド長が仁王立ちで私を見てくる。


「分かっている。慰謝料の提示をしたが呑んでくれなかったんだ」


 かなりの金額を提示した。王都で一軒家を購入できる金額だ。控えめな家だとしばらく食べて行くには問題ないと思う。相談はしたくないが、父に頼んで内密にでもアグネスの婚家を探してもらっても良い。

 母にバレたら怒られると言うくらいでは済まないだろう。母はルーナを気に入っている。結婚式の時は娘ができたと周りに喜びを隠さずに紹介していたのだから。


「とにかく、ルーナにはしばらく会いに行けない旨を手紙に書き、プレゼントを贈るよ」