きっと割り引いてくれたんだと思う。私がお金の心配をしている事を言ったから。


「気にしないで! と言いながらその代わり食材はうちで仕入れてよ」


「もちろんお世話になるわ!」


 持つべきものは商人の息子ね! 幼馴染と言っても過言ではないわよね。フェルナンドは優しいお兄さんって感じでもある。


 するとメイドが入って来てお菓子とお茶を出してきた。今日のお菓子は新作で試食会も含めて出すことにした。

「感想を聞かせてほしいの、皆さんもどうぞ」

 粉糖をまぶしたホロホロクッキー。手が汚れるのが難点だけど、絶対売れると思う。だって美味しいもの。

「美味しいよ。手が汚れるのは貴族向けではないね、庶民街ではいけると思う」

「ピックを付けるといいのかも知れないわね。手の汚れは私も気になるところだし、女の人は特に気になるわよね」

 他の人の意見もそんな感じだった。改善するべきところはして商品化することにした。

 話に花が咲いていると、庭から人影が……


「おや? お客様がいらしたのか」

 ……なんで来るの!


「侯爵様、昨日お伝えしたはずです。庭から出てくるなんてお客様に失礼ですわよ」


「いや、失礼。ルーナの夫のジョゼフ・バルビエです。妻がお世話になっております」

 ……なんなの、この人?

「バルビエ侯爵、初めまして私はフェルナンド・デュポンと申します。本日はルーナ様の事業の件でお話に伺いました」

 フェルナンドはジョゼフに頭を下げた。とって貼り付けたような笑顔だわね。