「……挨拶は終わりましたよね」
引かないわねこの人。愛情も友情も家族愛も何もないんだから放っておいてほしいわ!
「今まで妹に会いにもこなかったくせに今更どのツラ下げてそんな事が言えるのかと不思議な気分です。妹が美しく成長した姿を見て心を入れ替えたのですかね」
心の中ではそーだ! そーだ! お兄様良いぞ! と思い笑顔を絶やさない。
「……ぐっ、そうではなくて、夫婦としての時間を、」
心を入れ替える? ないない! それにしてもお兄様ってこんな嫌味な人だったっけ? それに何だか怒っている。
「お兄様、おかしな事を仰らないでください。侯爵様はわたくしの事は、」
「ルーナ! そうではない。話をしようと言っている。取り敢えずアルベーヌ殿に挨拶を済ませるから、その後ゆっくり話をしよう」
話す事なんてないのに……
ジョゼフはお兄様とも何を話すんだろう。お兄様の得体の知れない笑顔が怖いわ。