「契約①ですわよ。侯爵様」

「……なっ! それなら契約④だ! 侯爵夫人として、」

 少し怒ったように反論するジョゼフ。

「侯爵様は十日間もお休みですもの。わたくしもその間はお休みです」

 にこりと貼り付けた笑みを返してやった。


「よく分からない話をしているようだが、侯爵殿は何をしに我が家へ?」

 お兄様、ナイス! 何しに来たのかしら?


「迎えに来たに決まっているでしょう。新婚の妻が家に居ないなんておかしいでしょう、ルーナ不貞腐れていないで話し合おう」


 不貞腐れる? 何の事? 本当に分からないんだけど。


「おや? 侯爵殿はルーナを怒らせるような真似をしたのですか? 長い婚約期間中も喧嘩などするような関係にはなかったような……? それに仲のいい婚約者同士ではなかったように記憶していますがね」

「……結婚したのだから夫婦として歩み寄るのは当然だろう。ルーナ帰ろう」


 夫婦や妻ってよく言うけれど、それを求めないんでしょう? 気持ちが悪いわ……


「侯爵様? 結婚をしたら実家に報告へ来るのは普通の事ですのよ? ですからわたくしはそれに則り実家にいてもおかしくないのです。そうでしょうお兄様?」


 ジョゼフと話をしたくないからお兄様にバトンタッチ! 早く帰ってくれないかなぁ。でもお兄様がいると、楽ね! 話したくないもの。


「あぁ。ルーナの言う通りだ。ただ両親がしばらく留守にすると言う事で、私が留守を預かっている。ルーナは私に挨拶に来たと言う事だな」


 両親がいなかった事知らなかったし、お兄様が戻って来た事も知らなかったケドね、合わせておこう。