エミリオに抱きしめられた。急なことで驚いたけど大きな腕にすっぽり抱きしめられた。私こんな距離で男性に触れられたことが無いものだからどきどきとして苦しい……これが人を愛すると言うことなんだろう。初めて知った。

「卒業まで待ちます。結婚してください」

「はい」

「領地経営やその他……家の事もすることが多々あると思いますが手伝ってください」

「はい。頑張りますね」


「陛下に挨拶に行かなくてはいけません。公爵家の跡継ぎの結婚なんで結婚式は盛大になると思います」

「……はい」

 盛大って言っちゃうんだ。どれくらいの規模なのか想像がつかない。


「ご家族全員にも出席してもらいたいのです」

「…………はい」

 お兄様がジョゼフとの結婚式に来なかったの知っているのね。

「最後に……花嫁修行にも来てほしいです」

「はい。喜んで」


******


 婚約する。と二人で公爵家に挨拶に行くと喜んで受け入れられた。私の家族も然り。


『ルーナの選んだ人だ。今度こそ幸せになってほしい』


 卒業までの間は寮で暮らしたかったのだが、エミリオがせっかく公爵邸が近くにあるのだから、通えば良い! と言い公爵夫妻の勧めもあって公爵邸で暮らすことになった。
(馬車を買ってくれたから断れなかった)


 エミリオは私のことをルーと呼ぶようになった。公爵夫妻は呆れていて恥ずかしいから二人の時だけにして。と言えど無理だと言われた。

 実家の両親も兄も、エミリオの様子が変わったからか苦笑いをしていた。



「砂糖が口から出てくるわ……何かしょっぱいものない?」

 お義母様が毎日口にする言葉。

 メイド達も皆口を揃えて、砂糖が……と言う。




 私の結婚生活ってしょっぱい(塩)か甘い(砂糖)かの二択なのね……

 その後、公爵家には一生分の砂糖が送られてくることになった。

 イチャイチャしているように見えるらしい。周りの人から見ても甘々なエミリオを見て驚いているものね。一生砂糖に困らないなんて幸せね。


【完】