駅に着くとアルベーヌが待っていた。
「よぉ、疲れているか?」
もうじき夕暮れ。一日中座っての移動だから疲れている。
「はい、移動疲れです。まだ汽車での移動は慣れませんね」
馬車に揺られて十数分……ようやく邸に到着した。
「ルーナおかえりなさい!」
「お母様、ただいま帰りました」
ハグをして立ち話をしていたら、お父様が出てきてまずは着替えておいでと言われた。そのあとは晩餐だ。
部屋に入るとたった数ヶ月家を離れていただけなのに懐かしく感じた。簡単なワンピースに着替えてから食堂に向かった。もうみんな席に着いていた。学園生活はどうだとか、困った事は無いかとか矢継ぎ早に質問された。
学園生活は充実していてとても学びが多い事を話した。パドルさんのことや、フォンターナ公爵家の事も聞かれて、ちょっと顔が赤くなってしまった。気づかれてしまったかしら……
「学園が楽しそうで良かった、何よりだ」
「そうですね。ルーナは外国へ行きたいと子供の頃から言っていましたわね。連れて行ってあげられなくて可哀想なことをしたわ。でも鉄道が通ることにより、隣国を身近に感じることが出来てよかったわね」
子供に馬車の長距離はきつい。それに野盗なども頻繁に出るようでせめて自分の身を守れるようではないと、命を落としかねない。お兄様が朝から剣を振るうのはその為なのよね。
「お兄様、食事の後にお話があります。よろしいですか?」
「もちろん、構わない」
久しぶりの家族との食事は楽しく過ごせた。一日もかからず帰って来られると思うと距離の近さを感じた。
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コンコンコン……ノックをすると
「入れ」
と声が掛かって兄の部屋へと入る。
「どうした? 座らないのか」
座るとすぐにお茶の用意がされた。
「忙しいのね」