はぁっ。と息を吐くエミリオがいつもと様子が違う。胸がはだけているから? ちょっと色っぽい?


「毎回収穫祭は無礼講です。父は酒がさほど強くないけれどこの日だけは飲まされるとぼやいていた……私も少し飲みすぎました」


「お水を貰ってきますね」

 そう言ってパタパタと走り水を貰ってきた。戻ってくるとエミリオは目を瞑っていた。

「エミリオ様? お水をお持ちしました」

 寝ているのかしら? そう思うと何故か悪戯心が芽生えてきた。冷たい水の入った瓶をエミリオの頬にくっつけた。えい!


「……んっ」

 とろんっと目を開けるエミリオはなんだか可愛らしい。

「お水です。いかがですか」

「ん、ありがとうございます」

 瓶ごと水を飲むエミリオ。ごくごくと美味しそうに飲み干した。


「美味しいですか? まだありますよ」

「お酒の飲み過ぎは良くないと言う事がよく、分かりました……勿体無いな。せっかくルーナ嬢と過ごしていると言うのに」


「エミリオ様?」

 な、なに? 急に……両膝に肘をつき頭が下がる格好のエミリオ、つむじが見えた!


「もう貴女が留学してから十ヶ月経とうとしています……不甲斐ない私は貴方に気持ちを伝える事が出来なくて……貴方のことになると急に臆病になって……株を売買するときは積極的に動けるのになぁ」



「え……っと、エミリオ様飲み過ぎておかしなことを口にしていませんか?」

 気持ちを伝えるって何事……私のことになると臆病になるって……


「貴女のことが好きなんです。酔ったまま告白するつもりはなかったのに……言わなきゃ前に進めない。貴女と初めて会った時から……一目惚れです」


 ひゅっと、息を呑んだ……

「ごめんなさい、私は」