「すみません、見惚れてしまったようで……今日はエスコートを出来てとても光栄です。それでは行きましょう」

「はい」

 ちっちゃな声で返事しちゃった。エミリオはとっても素敵だった。肩幅が広いのでタキシードがとってもよく似合う。それに手を添えるだけでも安心感? がある。


 馬車に乗り込むと、シーンとしてしまったが、馬車には二人だけ。もちろん護衛は外にいるし窓も開いている。


「ルーナ嬢」

「はい」

 なに? なに、どうしたの……緊張する


「今日の貴女はとても美しく可愛い。美の化身……そんな言葉では言い表せないほど神々しくて……」

 真面目な顔で言うものだから恥ずかしくて目が見られない。

「あの……恥ずかしいので、それくらいで。ありがとうございます……」

 公爵家のメイドさん達の凄さ……すぐにでもお店を開けるわよ。


「今日は舞踏会という事で、子息達からもダンスに誘われるでしょうが、終わったらすぐに戻ってきてください。学園で出されるブドウのパルフェは絶品なんです。ブドウは公爵家のものを使っているので一緒に食べましょう」


 ……それは楽しみね。舞踏会かぁ……ダンスにはあまり自信がないのよね。