その日の朝ルーナは執事長とメイド長に挨拶をしたようだ。

 それから使用人が全員ホールに集まった。私は突然その事を聞き慌ててホールへと向かった。


「本日からこちらでお世話になる事になりました。ルーナと申します、どうぞよろしくお願い致します。奥様などと畏まった言い方は結構ですので気軽に名前で呼んでくださいます様にお願い致します」

 にこりと微笑み挨拶をすると、若くて美しいルーナに使用人が虜になっているようだ。


「しかし奥様……お名前でと言うには」

 執事長が言うと


「わたくしはまだ年若いので()()と呼ばれる事が恥ずかしいのですわ。皆さんそう言う事ですのでわたくしの事は名前でお呼びくださいませね」



 奥様と呼ばれる事に抵抗があるのだろう……夫婦なんだからそれはダメだ。

 ルーナは私の妻になったんだ! 後で話し合いたいと思った。


「おく、いえ、ルーナ様朝食の用意が整いました。旦那様をお呼び致しますので、」

「私はここにいる。ルーナ朝食にしようか」

 メイドがルーナの事を名前で呼び始めた! これはいかん。妻としての自覚を持って貰わねば!


「えぇ、そうですわね。わたくし侯爵様にお話がありましたの」

 にこっとこちらを見て笑うルーナ。嫌な予感しかない……


 ルーナをエスコートしようと腕を出そうとしたら、メイドにこちらです。と言われそのままスタスタと歩いてついて行ってしまった。新婚なのに……


 食堂に着いて離れて食事をする。せめてもう少し近くに……