立食パーティーでの事だった。エミリオに声をかけられた。
「やぁアルベーヌ殿」
すっと頭を下げて挨拶をするアルベーヌ。
「失礼ですが、先程妹とは何を話されていたのでしょうか?」
「ルーナ嬢が留学すると伺いました。慣れない国でしょうから困ったことがあったら、是非サポートしたいと思いお声を掛けさせてもらいましたが宜しかったでしょうか?」
「あぁ、そう言う事でしたか。フォンターナ卿にサポートしていただけるのなら安心ですね。が、しかし卿はなぜ妹にそこまで良くしてくださるのでしょうか?」
公爵家の嫡男。隣国では有名な家柄で両国の王族からの信頼も厚いような人物。モテないわけがない。大柄で物腰が柔らかくうちのような伯爵家にもわざわざ来てくれるような男だ。
「……ルーナ嬢と話をしていると心が安らぐと言うか、一緒にいて楽しいと思っています。もちろんルーナ嬢が嫌がる事はいたしませんのでご安心を」
ふむ。この男ルーナに惚れたな。ルーナが嫌でなければ悪くない話だが、ルーナは男に免疫がない! でもこの男とはなぜか話をしていて楽しそうである。
「なるほど……妹が嫌がることさえしなければ構いませんが……卿は妹をどう思っておられるのでしょうか? いえ、妹は一度嫁いだ身。何もなかったとはいえ良い噂から悪い噂の絶えない身ですから、兄としては心配なんですよ」
ズバッと好きだとか言ってくれたら楽なんだけど、そうはいかんだろうな。