「せっかく知り合いになれましたし、貴方が我が国に留学されると聞いて無視する事は出来ません。せっかくの留学期間を楽しんでもらえるようにサポートさせてくださいませんか?」

 しつこいか……でもこの機会を逃すともう連絡は取れなくなってしまうだろう。


「……それではお時間の空いた時にはお願いします。無理はなさらないでくださいね。それに週末はパドルさん、デュポン伯爵の奥様に招待されていますので、そこまで気を遣っていただくのは心苦しいですから」

 よし、約束はした。

「住む所はお決まりなんですか?」


 デュポン伯爵の嫡男が国外問わず遊び回っているが、子息のいる家なんて危険だろう。どこかの邸に世話になると言っても、子息がいると困る。ルーナがそんな気がなくても向こうはどうか分からないからな。


「学園の寮に住みます。寮の生活って楽しそうですもの。兄も寮生活をしていて、話を聞いているとワクワクしてきますわ」


 学園の女子寮か。それなら安心だ、寮母は厳しいが平等で真面目な人柄だ。不埒な奴が女子寮に近寄ることは不可能だ。


「うちはわりと学園から近かったから通っていたけど寮に住んでいた友人たちは皆楽しそうだったと記憶しています」


 そういうと、興味ありげに学園の質問をしてきたルーナ。シルビアはうんうんと楽しげに話を聞いていた。


「申し訳ない。シルビア嬢には面白くない話でしたね。学園の話はまた()()にしましょう」


「いいえ。お二人ともとても楽しそうで、聞いているわたくしも楽しいです。それにこんなに楽しそうなルーナ様は久しぶりに見ましたわ。早くのお帰りをお待ちしていますが、どうぞ楽しんで来てくださいませね」

 シルビアがそういうとルーナも笑顔で答えていた。

「まぁ、わたくしは勉強に行くのですよ、楽しんでなんて……」