~エミリオ視点~
「兄達はご挨拶に忙しいようで、わたくし達はこちらで王宮のスイーツを楽しんでいました。フォンターナ卿、こちらはフェルナンド様の婚約者のシルビア様ですわ」
一緒にスイーツを楽しんでいた友人を紹介された。
「シルビア様、こちらはフォンターナ卿です」
シルビアは紹介をされて淑女の礼をした。
「フェルナンド殿の婚約者殿でしたか。話は伺っていましたが初めましてですね」
婚約者は子爵家の令嬢とか言っていたな。話を聞く限りとても仲がいいようだ。
「はい。初めてお目にかかります。ルーナ様と卿はお知り合いでしたのね、フェルナンド様ともお知り合いという事で縁を感じました」
立ち話もなんだからと言い、三人で座って話をすることになった。さっきからチラチラとルーナを見る男達の視線が気になるからちょうどいいだろう。
アルベーヌもフェルナンドも見えるところにいる。
「フォンターナ卿、こんな所に居てもよろしいのですか? 皆さん卿とお話をしたいのではないですか?」
話をして疲れたから甘いものが食べたい。疲れた時は甘いものを食べるに限る。
「朝からずっと人前に出ていたので流石に疲れました。せめて甘いものでも食べて癒されたいと思いつい、引き寄せられるようにここに来てしまいました」
そう言いゼリーを口にした。普通に美味しいのだがやはりルーナの出してくれたプリンには敵わない。あの味が恋しい。
甘いものが食べたいと言うと、シルビアとルーナは話を始めた。遠慮なく話をして欲しい。邪魔をしているのは私だ。
「ルーナ様ともしばらく会えなくなると思ったら寂しいですわ。こうやってお話をするのはとても楽しいですもの」
「一年間だけですわよ? 一年なんてあっという間です。早く汽車に乗ってみたいですわ」