ぐさっ。と刺さるその一言……だから留学をさせようとしているのかもしれない。しばらく国を離れて噂が落ち着くまで待つ為に? 考えすぎよね。


 そもそもこの国の令嬢は幼い頃から家庭教師に教わるのが一般的。学園もあるけれど圧倒的に令嬢は少ない。

 令嬢同士はお茶会などで小さい頃から知り合っているから学園に行く必要があまりないと言う理由。それに自由な時間も多いわけだし、十六で嫁ぐのも珍しくない事なのだ。


 もちろんお兄様は学園に通っていたし、全寮制だから家に帰ってくる事も少なかったし、顔を合わせる機会は少なかった。


 お兄様は学園で王太子殿下と知り合ったのだそう。私は王太子妃様とはお茶会で何度もお会いして、結婚前の王太子妃様が我が家のお茶会にお越しになった際に、我が家のお菓子をとてもお気に召してくれたのがきっかけで仲良くさせて貰っている。

 お兄様が学園時代はどんな生活をしていたかは謎だけど、意外に友人が多いのは学園のおかげだと思う。


「ははっ、ルーナ言われているよ。でもせっかくだから学園生活を楽しみなよ。この国と違って令嬢もたくさん通っているし、選択授業なんかもあるから行って損な事はないよ」

 

 へぇー。うちの国とは違うのね。


「興味が、湧いてきた」


「そろそろ、移動するか? みんな移動し始めているぞ」

 今から開通記念パーティーが行われる。ベルモンド伯爵領にも線路がかすっているから、部外者ではないみたい。

「ルーナ分かっていると思うけれど、」

「お兄様の目の届くところにいます」

 力強く返事をするとフェルナンドが笑っていた。

「そうそう、その調子。アルの嫌な予感は的中していたんだもんね」

 
 前侯爵の弟の息子め! ジョゼフもそうだけど、弁護士を通して私には接近禁止となったのだ。