「お見合いですか?」
釣書きが送られてきているのは知っているけれど、実際話があったのは初めてだった。(お兄様に見せられたことはあったけど)
「知っていると思うが、かなりの釣り書きが送られてきている。見合いをしたいと言う家もあるが、ルーナはどうしたい? 離縁したばかりだから私は早急に考える必要はないと思っているし、無理をさせたくはない」
お父様はそう言いながら釣り書きを机のうえにドン! と積み重ねてみせた。チラッとそれを見るが手に取る気にはなれない。
「それでしたらお言葉に甘えて、お断りしてもよろしいですか?」
「もちろん構わない。ルーナの好きにしたら良い。家にいたければずっといても良い」
家にずっといると言うことは、いつかお兄様が当主になった時も世話になると言うことよね。お兄様の奥さんにしてみればこんな小姑邪魔なだけ。いつかは家を出なくてはいけないけれど今は甘えよう。
「まだ離縁して間もないのに婚約したいだなんて変わった人達が多いのですね。わざわざこんな面倒な私とじゃなくても良さそうなのに」
私は十六歳。白い結婚故、結婚自体はなかった事になるけれど出戻りだ……。十六での結婚は早かったしまだ学びたいことも多い。店は順調に経営をしている。その為忙しくなっているが、大量生産はしたくないのでカフェの方は完全予約。お菓子は完売御免にした。
お茶会って事前に決まっているんだから、職人やスタッフの手を煩わせないようにした。その方がより希少価値が出るもの。
「そう言うと思っていたよ」
お父様はくすくすと笑いながら言った。お兄様も無理に結婚させるつもりはないっていっていたものね。
「まだまだ学びたいことが沢山ありますから、優先したいんです」
「学びたいか……」