隣国と隣り合わせの地形で平坦な土地を選んでレールが引かれた。ベルモンド伯爵家の領地にも少し掠っているので、両親は説明会に参加してフォンターナ卿の事を知っていたのだそう。

 隣国と我が国の共同事業で進んでいて、フォンターナ公爵家が大きく活躍しているんだそう。公爵の仕事の跡を継いだような感じだと言ったけど、理解してないと跡なんて継げないもの。凄いわ……。


「どうかした? 浮かない顔をして、面白くなかった?」

 困ったように私の顔をのぞいてくるエミリオ。


「いいえ。とても楽しいのですが、わざわざエミリオ様自ら案内してくださって申し訳がなくて……こんな凄いお仕事をしている方に私のくだらない話を聞いて貰っていたと思ったら、なんだか恥ずかしくなりました」


 素直に白状しよう!


「くだらない?」

 こくんと頷いた。早く帰りたくなった。


「大きな仕事や小さな仕事はあるけれど、ルーナ嬢が考えていることはとても大事な事だと思うんだけど……それに仕事には何が大事かと言うのは人それぞれで良いと思う。自分がこうしたいと言う気持ちがないと何事もうまくいかないよ。私がこの仕事を父から受け継いだ時は、右も左も分からなくて一から教えてもらったし自分で知りたいと思うことは調べたし、周りにもたくさん助けられた。ルーナ嬢が思っている凄い人とは程遠いかな……」

 努力したのね。公爵家の跡継ぎとはプレッシャーもあるだろうし、厳しく育てられたのかなぁ。


「私はお店を経営していると言っても両親の力が大きかったり、フェルナンドにもいっぱい協力して貰っています。一人では何も出来ないんだと最近思うことがありました。自分でやれると思っていても、父の一声で事態が変わることもありますし……」

 
 あ……離縁の事だけど、こんな事言えないわね。でも……噂になっているし知っているわよね。公爵家の嫡男がわざわざ伯爵家に招かれた時点で私のことなんてあっという間に調べられていそうね。