(エミリオ視点)


 ……そんな事があったなんて。

 現在私はベルモンド伯爵家へ招かれ応接室にいる。どう言う経緯でルーナと知り合っていたのかを聞かれた。年頃の娘が男と出会う、まして外国籍の私だ。家族が心配になるのも不思議ではない。

 ルーナが経営する店の客であった事、そしてたまたま貴族街のルーナの経営するカフェで会って話をした事を伝えた。すると納得したようであった。

 ルーナは可愛いし年頃の娘。男が近寄ることを危惧しているかもしれない。安心してもらえたようで良かった……と思ったら

「白い結婚……ですか? ルーナ嬢が?」

 一瞬思考が固まってしまった。



「えぇ、娘は一切悪くありません。悪いのは私共です。白い結婚の後の離縁ですので結婚自体は無効になりましたし(無理矢理)期間も数ヶ月でして……しかし娘の事を面白おかしく言うものもいます。貴方様が娘と何かあるわけでもないでしょうが、会っていると噂されますと貴方様の経歴に傷が付きますし娘も噂が増えますと……」


 言いにくそうに伝えてくるがそう言う事か……。娘には近づくなと。それにしてもおかしなことを言ってくる。

 ルーナほど美しければ、結婚したのなら手を出したいと思うのが普通……だ。まさか同性愛者だったとか?


「すみません。踏み込んだ話になりますがなぜ、白い結婚を? 契約まで結ぶ必要があったのですか?」